退職の実務

退職届と退職願の違いは?書き方テンプレート・封筒マナー・提出タイミング【社労士監修】

いざ書こうとして手が止まる、「退職届」と「退職願」。どちらを出すべきか、いつ出すか、何を書くか——実は覚えることはとても少なく、迷ったら「退職届」、日付と一身上の都合だけ書けば完成です。この記事でテンプレートごと持ち帰ってください。

退職届

「辞めます」という確定通知

  • 意思が固まっているときはこちら
  • 提出後の撤回は原則できない
  • 会社の承認は不要
退職願

「辞めさせてください」というお伺い

  • 会社が承諾するまでは撤回の余地あり
  • 円満さを演出したい場合に
  • 承諾されれば効果は同じ

▲ 「辞表」は役員・公務員が使う言葉。一般の会社員は届か願のどちらかでOKです

提出の流れとタイミング

  1. 直属の上司に口頭(または電話・メール)で退職の意思を伝える
  2. 退職日を確定させる(就業規則の予告期間も参考に、1〜2ヶ月前が円満の目安。法的には2週間前で可)
  3. 会社指定の書式があるか確認(あればそれに従う。なければ自作でOK)
  4. 退職届を上司へ提出(手渡しが難しければ郵送でも有効)
  5. 控えのコピーまたは提出日をメモしておく
目次

そのまま使えるテンプレート(縦書き・手書きでも印刷でも可)

【退職届】

退職届

私儀
このたび一身上の都合により、来る令和◯年◯月◯日をもって退職いたします。

令和◯年◯月◯日
◯◯部 氏名 ㊞

株式会社◯◯◯◯
代表取締役 ◯◯◯◯ 殿

※理由は「一身上の都合」で統一。詳細を書く必要はありません(会社都合退職の場合は「一身上の都合」と書かず、「事業所の退職勧奨に伴い」等、実態を書きます)。

ひとつだけ重要な注意。実態は退職勧奨・雇止め・体調悪化による退職なのに、言われるまま「一身上の都合」と書くと、離職理由が自己都合として処理される方向の材料になり得ます。失業手当の給付制限や給付日数に影響するため、会社都合的な事情がある方は、書き方を提出前に相談してください。書面は一度出すと戻せません。

封筒と渡し方のマナー(最低限だけ)

  • 白無地の封筒(郵便番号枠なし)に「退職届」と表書き、裏に所属と氏名
  • 用紙はB5またはA5の白便箋、三つ折りで封入
  • 手渡しが基本ですが、体調等で難しければ郵送でも法的効力は同じ。配達記録の残る方法で送り、送付記録を保管

よくある質問

会社が受け取ってくれません。

受け取りを拒否されても、退職の意思表示が到達していれば効力に影響しません。内容証明郵便など到達の記録が残る方法で送れば、受領拒否は問題になりません。

退職願を出した後、気が変わりました。撤回できますか?

退職願は会社(決裁権者)が承諾する前なら撤回の余地があります。退職届は原則撤回できません。迷いがあるうちは提出せず、意思が固まってから出しましょう。

メールやチャットで「退職します」と送るだけではダメですか?

意思表示としては有効です。ただ、社内手続きや記録の明確さの点で、最終的には書面(退職届)も提出しておくのが後々のトラブル防止になります。

ケース別の文面アレンジ集

基本テンプレートを、状況に合わせて一行だけ調整するパターンを用意しました。①退職勧奨に応じる場合:「このたび貴社の退職勧奨に伴い、令和◯年◯月◯日をもって退職いたします」——「一身上の都合」と書かないことが最重要です。②契約期間満了の場合:「契約期間満了により」——満了は本来届出不要のことも多いですが、書面を求められたらこの表現で。③体調を理由に明示したい場合:「一身上の都合(病気療養のため)」のように付記する形もあります。離職理由の区分は最終的にハローワークが実態で判定しますが、書面が実態と食い違っていると説明の手間が増えるため、書面・実態・ハローワークへの申告の3つを揃えるのが原則です。迷ったら、書く前に相談してください。書いてからの相談より、ずっと簡単に解決します。

提出後の流れ:退職届の後に起きること

  1. 受理の確認 ― 提出日をメモし、可能ならコピーを保管。メールで「本日、退職届を提出いたしました」と一報しておくと記録が二重になります
  2. 退職日までの調整 ― 引き継ぎ計画と有給消化のスケジュールを自分から提示すると、主導権を保てます
  3. 各種書類の依頼 ― 離職票・源泉徴収票・雇用保険被保険者証の交付を依頼(郵送希望ならその旨も)
  4. 貸与物の返却と私物の整理 ― 最終出社日までに計画的に。出社が難しければ郵送で
  5. 退職後の手続きへ ― 健康保険・年金の切り替え、失業手当(または傷病手当金)の申請へ進みます

ミニ知識:日付は2ヶ所、意味が違います
退職届には「退職する日(本文中)」と「提出日(末尾)」の2つの日付を書きます。前者は雇用契約が終わる日、後者は意思表示をした日。特に後者は、民法の2週間や就業規則の予告期間の起算に関わる大事な記録です。空欄や「後で書く」は避け、提出のその日を正確に。

手書きとパソコン、どちらが良いですか?

どちらでも法的効力は同じです。慣習として手書きを好む会社もありますが、パソコン作成+署名だけ手書き、でも実務上問題ありません。読みやすさと記録性を優先してください。

退職届を出したのに「聞いていない」ことにされました。

内容証明郵便(配達証明付き)で再送すれば、到達の公的な記録が残ります。到達していれば受理の有無にかかわらず意思表示は有効です。この段階に至ったら、以後のやり取りも書面ベースに切り替えましょう。

英文の退職届(外資系)はどう書けば?

英文でも構成は同じで、退職の意思・退職日・感謝を簡潔に記します。社内の様式や慣行がある場合が多いので、人事に書式の有無を確認するのが早道です。

よくある書き損じと直し方

提出前のセルフチェック用に、頻出のミスを挙げておきます。①西暦と和暦の混在(どちらでも良いが統一する)。②「退職させていただきます」の乱用(退職届は通知なので「退職いたします」で足ります。願なら「退職いたしたく、お願い申し上げます」)。③宛名の敬称(社長宛は「殿」または「様」。部署宛なら「御中」)。④提出先の間違い(宛名は最高責任者、手渡す相手は直属の上司、が基本の型)。⑤修正液・修正テープの使用(書き損じたら新しく書き直すのが無難)。どれも効力を左右するほどのものではありませんが、最後の書類だからこそ、静かに整った一枚で締めたいところです。

捨て印は押すべきですか?

不要です。捨て印は訂正を相手に委ねる意味を持つため、退職届のような一方的な意思表示の書面には押さない方が安全です。

退職日を会社が勝手に書き換えました。

合意していない退職日への変更は無効を主張できます。提出した控え・メールの記録をもとに「◯日で提出した」事実を示し、ハローワークにも経緯を伝えてください。書面の控えは、まさにこの場面のためにあります。

退職願を選ぶ場面はいつか

この記事では「迷ったら退職届」としましたが、退職願が活きる場面もあります。それは、退職日や条件にまだ交渉の余地を残したい場合です。例えば「◯月末で退職したいが、引き継ぎ次第で2週間程度は調整に応じてもよい」というスタンスなら、願の形で出して協議し、確定後に届で締める二段構えが丁寧です。また、社風として願→承認→届の手順を就業規則で定めている会社もあります。一方、引き止めが予想される、心身に余裕がない、退職日を絶対に動かしたくない——そんな状況では、撤回の余地がない届の一発提出が自衛になります。書類の選択は、マナーの問題ではなく交渉ポジションの設計。あなたが主導権を持ちたい度合いで選んでください。

口頭で伝えた日と退職届の提出日、どちらが起算日ですか?

退職の意思表示は口頭でも有効なので、明確に伝わった日が起算になり得ます。ただし証明の観点では書面・メールの日付が強いため、口頭で伝えた当日に一筆メールを送っておくのが確実です。

直属の上司を飛ばして人事に出してもいいですか?

就業規則の手続きに沿うのが原則ですが、上司によるハラスメントがある等の事情なら、人事や更に上の役職への提出も現実的な選択です。経緯をメモに残しておけば、手順を責められても説明できます。

書く前の10分で決めておくこと

テンプレートを埋める前に、次の3つだけ決めてしまえば、退職届は10分で完成します。①退職日——就業規則の予告期間(1ヶ月前が多い)と民法の2週間、有給の残日数、そして給付金の要件(体調由来なら退職日の設計が傷病手当金の継続給付に関わります)を突き合わせて決定。②提出方法——手渡しか郵送か。出社がつらいなら郵送で構いません。③理由の表現——通常は「一身上の都合」、会社都合的な実態があるなら実態どおりに。この3点が決まれば、あとは清書だけ。逆に、ここが曖昧なまま書き始めると、日付や文言を後から直す羽目になります。書類は最後の仕上げ、設計が本体です。

LINEで退職を伝えてしまいました。改めて退職届は必要ですか?

LINEでも意思表示としては有効ですが、退職日や記録の明確さのために書面(またはメール)で正式に残しておくことをおすすめします。「◯日にお伝えした通り」と一言添えれば、二重連絡にはなりません。

会社の退職手続きシステムに入力するだけでいいと言われました。

社内システムでの手続きも意思表示として有効です。ただし記録が社内にしか残らないため、入力完了画面の保存や、完了の旨のメールを自分宛にも残しておくと安心です。

本文3行の小さな書類ですが、書き方ひとつで給付の扱いまで変わり得る、退職で最後にして最重要の1枚。設計してから、静かに書き上げてください。

口頭で伝える直属の上司へ
書式を確認会社指定がなければ自作
退職届を提出郵送でも効力は同じ
控えを保管提出日をメモ
→書類の受領へ

▲ 提出フローの全体像。「控えと提出日の記録」が最後の保険になります

まとめ:書面は3行、こだわるべきは「理由の書き方」

退職届の本文は実質3行、迷ったら退職届・理由は一身上の都合、これで9割のケースは完成です。残り1割——会社都合的な事情や体調理由がある方だけは、書き方が失業手当の扱いに関わるため、提出前にご相談を。退職の段取りから給付金の確認まで、LINEの無料相談でまとめてサポートします。

※本記事は一般的な情報提供です。書式・手続きは会社の規程もご確認ください。

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