傷病手当金

体調不良で退職したい。電話での言い方・例文と、出社せずに辞めるための段取り【社労士監修】

朝、どうしても体が動かない。会社に行けるコンディションではないのに、「退職を伝えるなら対面で」と思うと、それ自体がプレッシャーで余計につらくなる――体調を崩しているときの退職は、健康な時の退職とはまったく別の難しさがあります。

先に結論です。体調不良のとき、退職の意思は電話で伝えて構いません。退職の申し出は口頭でも法的に有効で、対面である必要はありません(民法627条により、期間の定めのない雇用は申し出から2週間の経過で終了します)。「対面でないと受理しない」という社内ルールに、あなたの健康を犠牲にしてまで従う法的義務はありません。

欠勤連絡まず今日を休みに
受診体調の記録をつくる
電話で退職を伝える台本3行でOK
メールで記録化→以後は郵送で完結

▲ 電話退職の全体フロー。「受診が電話より先」が、後の給付を左右するポイントです

電話で伝えるときの言い方(そのまま使えます)

基本形

「お忙しいところ恐れ入ります。◯◯です。体調を崩しており、医師からも療養が必要と言われております。誠に申し訳ありませんが、◯月◯日をもって退職させていただきたく、ご連絡いたしました。出社が難しい状況のため、必要な手続きは郵送などで対応させていただけますと幸いです。」

退職日を決めきれていない場合

「体調が思わしくなく、勤務を続けることが難しい状況です。退職の方向で考えており、退職日や手続きについてご相談させてください。」
※ただし、可能であれば退職日は具体的に伝えるのがおすすめです。「相談」の形にすると引き止めや先延ばしの余地が生まれます。

電話に出るのもつらい・話すと責められる場合

メールでも退職の意思表示は有効です。
件名:退職のご連絡(◯◯部 氏名)
「体調不良により勤務の継続が困難なため、◯月◯日をもって退職いたしたく、ご連絡いたします。出社が難しいため、貸与物の返却や書類のお手続きは郵送にてお願いできますと幸いです。」
送信記録が残るため、「聞いていない」と言われるトラブルの防止にもなります。

目次

電話の前に整えておくと楽になる3つのこと

  1. 受診しておく ― 体調不良で退職するなら、まず医療機関へ。診断・受診記録は、失業手当の「特定理由離職者」判定(受給条件の緩和・給付制限なし)や、傷病手当金の申請で、あなたを守る重要な材料になります。「診断書がないと退職できない」わけではありませんが、記録はあとから作れません
  2. 伝える内容をメモにしておく ― 退職日・療養が必要なこと・手続きは郵送希望、の3点だけ。書いたものを読み上げるつもりで話せば、動揺しても大丈夫です
  3. 退職後のお金の見通しを持っておく ― 体調不良による退職は、条件を満たせば傷病手当金(働けない場合)や失業手当(働ける場合)の対象になり得ます。特に傷病手当金は退職前の準備で受給の可否が変わる制度なので、電話の前に一度確認しておく価値があります

会社から「対面で来い」「診断書を出せ」と言われたら

  • 「対面でないと受理しない」 → 退職の意思表示は電話・メールでも法的に有効です。体調を理由に「出社が難しいため、書面・郵送で手続きさせてください」と繰り返して構いません
  • 「診断書を提出しろ」 → 退職自体に診断書の提出義務はありません(就業規則上、欠勤の扱いに関して求められる場合はあります)。提出するかどうかは、欠勤の取り扱いや傷病手当金の申請予定も含めて判断しましょう
  • 「損害賠償だ」「離職票は出さない」 → いずれも不当です。退職を理由とした損害賠償が認められることはまずなく、離職票の交付は会社の義務です。この種の発言が出る場合は、一人で対応せず第三者を挟むサインです

どうしても自分で電話できないとき

電話をかけようとすると動悸がする、着信拒否されている、上司の声を聞くこと自体が症状を悪化させる――そこまで来ているなら、自分で伝えること自体を手放してよい段階です。退職代行を使えば、会社と直接やり取りせずに退職の意思を伝えられます。退職リリーフでも退職代行に対応しており、即日対応のご相談も可能です。心身を守ることが最優先で、伝え方の形式にこだわる必要はありません。

よくある質問

電話で伝えた退職は、あとから「言った・言わない」になりませんか?

心配な場合は、電話のあとにメールやLINEなど記録の残る形で「先ほどお電話でお伝えしたとおり、◯月◯日で退職いたします」と送っておくと確実です。

退職までの2週間、出社できそうにありません。

欠勤の連絡を入れたうえで、有給休暇が残っていれば消化に充てる方法があります。体調不良で働けない状態が続くなら、その期間は傷病手当金の対象になる可能性もあります。無理に出社する必要はありません。

貸与物や書類のやり取りはどうすればいいですか?

健康保険証・社員証・PCなどの貸与物は郵送で返却できます。会社から受け取るもの(離職票・源泉徴収票・雇用保険被保険者証)も郵送を依頼しましょう。チェックリストを作って一度で済ませると負担が減ります。

電話をかける前の「5分間の準備」

電話が怖いのは、何を聞かれるか分からないからです。逆に言えば、聞かれることを先に潰しておけば怖さは半減します。想定問答は実質3つだけ。「理由は?」→「体調不良で、医師からも療養が必要と言われています」(病名を言う義務はありません)。「いつまで出られる?」→「出社は難しい状況です。手続きは郵送でお願いしたいです」「一度会って話せない?」→「申し訳ありませんが、体調的に難しいため、お電話と書面でお願いします」。この3つの返しをメモに書き、深呼吸してから発信する。かける時間帯は、始業直後や昼休みなど相手が慌ただしくない時間が無難です。

電話後は、その日のうちに「先ほどお電話でお伝えしたとおり、◯月◯日をもって退職いたします」とメールを一本。これで「言った・言わない」は起きません。

退職日までの期間の設計:欠勤か、有給か、傷病手当金か

電話で退職を伝えてから退職日までの期間(最短2週間)の過ごし方には設計の余地があります。①有給休暇が残っているなら消化に充てるのが基本(給与が出ます)。②有給がない・足りない場合は欠勤になりますが、労務不能の状態で給与が出ない期間は、待期3日の完成を含めて傷病手当金の対象になり得ます。③体調的に可能で、傷病手当金の継続給付(退職後も受け取る)を視野に入れるなら、退職日時点でも労務不能の状態が続いていることが要件になるため、退職日の扱いを事前に確認しておくこと。「とにかく最短で辞める」と「給付を最大限受け取れる形で辞める」は退職日の設計が変わることがあるので、急ぐ前に一度だけ立ち止まって確認する価値があります。

ケーススタディ:出社ゼロで退職まで進めた29歳
月曜朝に欠勤連絡、水曜に受診して療養が必要との判断。木曜に上司へ電話で退職を申し出(退職日は2週間後)、同日メールで記録化。残っていた有給5日を待期と序盤に充て、以降は欠勤として傷病手当金を申請。貸与物はレターパックで返却、離職票は郵送を依頼。電話1本とポスト投函だけで、一度も出社せずに退職とお金の手続きが完了しました。特別な交渉力は何もいりません。順番を知っているかどうかだけです。

親にバレたくないのですが、会社が実家に連絡することはありますか?

通常はありません。ただし緊急連絡先に実家を登録している場合、本人と連絡が取れないと会社が実家へ電話する可能性はあります。電話・メールに(出なくても)応答を返しておくことが、実家への連絡を防ぐ一番の方法です。

退職を伝えた後、鬼のように着信が来ます。

退職の意思表示は済んでいるので、すべてに応答する義務はありません。「体調のため、ご連絡は書面かメールでお願いします」と一度だけ返し、以後は記録を残しつつ静観で構いません。あまりに執拗な場合は退職代行や労基署など第三者を挟むサインです。

「逃げ癖がつく」という言葉に苦しんでいる方へ

体調を崩しての退職を考えるとき、多くの人の頭に浮かぶのが「ここで逃げたら逃げ癖がつく」という言葉です。ですが、心身に症状が出るほど消耗した状態からの離脱は、逃げではなく治療の一環です。骨折した人がグラウンドから退場するのを「逃げ」とは呼ばないのと同じです。実際、療養を経て回復した方の多くは、次の職場で以前より長く安定して働いています。必要なのは根性ではなく、①医療につながる、②生活費の制度(傷病手当金・失業手当)を確保する、③回復のペースで次を探す、という順番です。その第一歩が、今日の電話1本、あるいは受診の予約1件。それだけで十分に前進です。

電話で泣いてしまいそうです。

泣いても大丈夫です。伝えるべき内容(退職日・療養が必要・手続きは郵送)がメモにあれば、涙声でも用件は伝わります。どうしても難しければメールでも法的効力は同じですし、退職代行という手段もあります。伝わる形なら、どんな形でも合格です。

制服やPCを返しに一度は出社しないとダメですか?

出社の義務はありません。貸与物は追跡可能な郵送(レターパック等)で返却でき、送付記録を残せば「返した・返していない」のトラブルも防げます。重量物は着払いの可否を会社に確認しましょう。

電話の台本、受診の記録、郵送の段取り。この3点セットが揃えば、体調を最優先にしたまま退職は完了します。あなたの回復より優先すべき業務は、この世にありません。

退職を申し出電話+メール
有給消化残日数ぶん
欠勤期間傷病手当金の対象になり得る
退職日民法上は申し出から2週間

▲ 申し出から退職日までの期間設計の例。出社ゼロのまま完了できます

まとめ:伝え方より、あなたの回復が先

体調不良のときの退職連絡は、電話でもメールでも法的に有効です。読み上げ用のメモと、受診の記録と、お金の見通し。この3つがあれば、電話1本で退職は前に進みます。そして電話すら難しいなら、退職代行という手段があります。退職後に受け取れる可能性のある給付金(傷病手当金・失業手当)の確認も含めて、いまのあなたの状況で何がベストか、LINEの無料相談(24時間受付)でお気軽にご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。体調がつらい状態が続くときは、まず医療機関にご相談ください。具体的なトラブルがある場合は、労働基準監督署や弁護士等の専門家にご相談ください。

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