退職の実務

退職後にやることリスト完全版|健康保険・年金・失業手当・税金の手続きを期限順に解説【社労士監修】

退職が決まってホッとしたのも束の間、「保険?年金?税金?何をいつまでにやればいいの?」と、手続きの多さに途方に暮れていませんか。退職後の手続きには期限があるものが多く、順番を間違えると保険証が使えない期間ができたり、給付金の受給が遅れたりします。この記事では、退職後にやることを時系列の地図として1枚にまとめました。

退職日書類の受け取り依頼
〜14日以内健康保険・年金の切替
離職票が届いたらハローワークで手続き
受給期間中失業認定・求職活動
年明け必要なら確定申告

▲ 退職後の手続きの全体フロー。まずは「14日以内」の2つが最優先です

期限つき手続きの一覧表

手続き期限の目安窓口
健康保険の切り替え(国民健康保険)退職日の翌日から14日以内市区町村役場
健康保険の任意継続(希望する場合)退職日の翌日から20日以内協会けんぽ・健康保険組合
国民年金への切り替え(第1号)退職日の翌日から14日以内市区町村役場
失業手当の申請離職票が届き次第すぐ(受給期間は離職から原則1年)ハローワーク
住民税の納付方法の確認納付書が届いたら市区町村
確定申告(年内に再就職しない場合)翌年2月16日〜3月15日税務署

特に注意したいのが任意継続の「20日以内」です。国民健康保険と任意継続のどちらが得かは保険料と給付内容で人によって異なりますが、任意継続を選ぶなら20日を過ぎると原則加入できません。迷っている間に期限が来てしまうのが典型的な失敗パターンなので、退職前に両方の保険料を試算しておきましょう。

目次

① 健康保険:3つの選択肢から選ぶ

  • 国民健康保険に加入 ― 前年の所得で保険料が決まります。退職理由によっては軽減制度あり(会社都合等の離職では保険料が軽減される場合があります)
  • 任意継続 ― 在職中の健康保険を最長2年継続。保険料は会社負担分もなくなり全額自己負担になります
  • 家族の扶養に入る ― 収入要件を満たせば保険料負担なし。失業手当や傷病手当金も収入とみなされるため、日額によっては入れないことがあります

なお、退職後に傷病手当金の継続給付を受ける方は、どの保険に切り替えても継続給付は元の保険者から支払われます。切り替えの選択が継続給付の可否に影響することはありません。

② 年金:切り替えを忘れると未納扱いに

厚生年金から外れるため、国民年金第1号への切り替え(または配偶者の扶養=第3号)が必要です。手続きを忘れるとその期間が未納扱いになり、将来の年金額や障害年金の受給要件に影響することがあります。収入が減って納付が難しい場合は、免除・納付猶予制度を申請できます(失業を理由とする特例免除あり)。放置せず、必ず「切り替え+必要なら免除申請」までセットで行いましょう。

③ 会社から受け取る書類・返すもの

  • 受け取るもの:離職票(1・2)/雇用保険被保険者証/源泉徴収票/年金手帳(会社保管の場合)
  • 返すもの:健康保険証/社員証・入館証/貸与PC・携帯/制服など

離職票は失業手当の申請に、源泉徴収票は確定申告や転職先での年末調整に必須です。届かない場合は遠慮なく会社に催促を。郵送でのやり取りで問題ありません。

④ 失業手当・給付金の手続き

働ける状態の方は、離職票が届き次第ハローワークで失業手当の手続きを(受給期間は離職日の翌日から原則1年)。体調不良ですぐに働けない方は、受給期間延長の申請と、条件を満たせば傷病手当金の検討を。どちらのルートに乗るべきかは体調と加入状況次第なので、退職前後の早い段階で確認しておくのがおすすめです。

⑤ 住民税と確定申告

住民税は前年の所得に課税されるため、退職後も納付が続きます(一括徴収されていない分は納付書で支払う普通徴収に)。また、年の途中で退職して年内に再就職しなかった場合、所得税を払いすぎていることが多く、確定申告をすると還付金が戻ってくるケースがほとんどです。源泉徴収票を保管しておきましょう。

よくある質問

手続きはどの順番でやるのが正解ですか?

まず期限が短い「健康保険」と「年金」(14日以内・任意継続なら20日以内)。次に離職票が届き次第ハローワークへ。住民税と確定申告は書類が届いてから・年明けで大丈夫です。

保険証がない期間に病院へ行きたい場合は?

国民健康保険は退職日の翌日にさかのぼって加入となるため、手続き前の受診分もあとから保険適用の精算ができるのが原則です。いったん全額自己負担で領収書を保管し、加入手続き後に払い戻しの手続きをしてください。

退職してすぐ転職する場合もこの手続きは必要ですか?

空白期間なく次の会社に入社する場合は、健康保険・年金は新しい会社で切り替わるため自分での手続きは不要です。空白が1日でもあれば、その期間分の国民健康保険・国民年金の手続きが必要になります。

お金の不安を減らす「退職前の3つの試算」

手続きの期限と同じくらい大事なのが、退職後の固定費を先に数字にしておくことです。試算すべきは3つ。第一に健康保険料。任意継続の保険料は在職中の約2倍(上限あり)が目安で、保険者に聞けば正確な額が分かります。国民健康保険は前年所得で決まり、自治体サイトの試算ツールや窓口で概算が出せます。この2つを並べて安い方を選ぶのが基本です。第二に国民年金(定額。免除・猶予の申請でゼロ〜減額も可能)。第三に住民税。前年の所得から計算されるため、退職翌年の6月からの納付額が想像以上に重いことがあります。源泉徴収票の所得から概算しておくと、「忘れた頃に来る納付書」に慌てずに済みます。

この3つの合計が、収入ゼロでも毎月出ていく固定費です。失業手当や傷病手当金の見込み額と並べれば、貯金がどのくらいのペースで動くかが一枚で見えます。

順番を間違えやすい2つの場面

ひとつめは、「失業手当の手続きより先に扶養に入ってしまう」パターン。失業手当の日額が約3,612円以上だと受給中は扶養に入れない扱いが一般的なため、いったん扶養に入った後で受給が始まると、抜ける手続きが発生して二度手間になります。受給の予定がある方は、日額の見込みを出してから扶養の判断を。ふたつめは、「確定申告を『関係ない』と思い込む」パターン。失業手当も傷病手当金も非課税ですが、退職までの給与には所得税が源泉徴収されています。年内に再就職しなければ年末調整が行われないため、確定申告をしないと払いすぎた税金が戻りません。数万円単位の還付になることも珍しくないので、源泉徴収票は必ず保管してください。

モデル:月収28万円・9月末退職・単身の場合の固定費概算
国民健康保険 約2.3万円/月(前年所得による・自治体差あり)、国民年金 約1.7万円/月(免除申請で減額可)、住民税 約1.3万円/月相当。合計約5.3万円/月が収入ゼロでも出ていく計算。失業手当(日額約5,800円×28日≒16万円)が入れば差引約11万円で生活する、という設計が見えてきます。※すべて概算・目安です。

退職金には税金がかかりますか?

退職金は「退職所得」として優遇された計算(勤続年数に応じた控除)が適用されます。会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば適切に源泉徴収されて完結するのが通常です。未提出だった場合は確定申告で精算できます。

iDeCoや企業型DCはどうなりますか?

企業型確定拠出年金に入っていた方は、退職後6ヶ月以内にiDeCo等への移換手続きが必要です。放置すると自動移換となり手数料や運用停止のデメリットがあるため、忘れがちな手続きの筆頭として挙げておきます。

体調が悪くて役所に行けません。

国民健康保険・国民年金の手続きは、多くの自治体で郵送対応が可能です(委任状による代理も可)。まず自治体サイトか電話で「郵送での手続き」を確認してください。ハローワークの受給期間延長も郵送・代理申請ができます。

手続きを1日で終わらせるモデルコース

体力・気力があるうちに、役所系はまとめて片付けるのがおすすめです。モデルコースはこうです。午前:市区町村役場で国民健康保険と国民年金の切り替え(+必要なら年金の免除申請と住民税の相談)を一括で。持ち物は、退職日が分かる書類(離職票や資格喪失証明書)、本人確認書類、マイナンバーが分かるもの。午後:ハローワークで求職申込みと受給資格の手続き(離職票が届いていれば)。これで期限もののほぼ全てが1日で完了します。窓口は月曜午前と連休明けが混みやすいので、火〜木の午前スタートが快適です。

資格喪失証明書とは何ですか?

会社の健康保険を抜けた日を証明する書類で、国民健康保険の加入手続きに使えます。離職票の到着が遅れていても、この証明書(会社または保険者が発行)があれば国保の手続きを先に進められます。退職時に発行を依頼しておくと便利です。

全部やりきれる自信がありません。最低限どれだけは?

最低限は3つ。①健康保険の切り替え(無保険期間を作らない)、②年金の切り替えか免除申請(未納を作らない)、③離職票が届いたらハローワークへ(受給期間1年を無駄にしない)。この3つさえ守れば、残りは後追いで立て直せます。

チェックリストは完璧にこなすためではなく、抜けに早く気づくためのものです。この記事をブックマークして、ひとつ片付くたびに戻ってきてください。

14日以内国保・年金の切り替え
20日以内任意継続を選ぶ場合
離職票が届いたらハローワークへ
翌年2〜3月確定申告で還付

▲ 期限の全体マップ。前半2つの期限が最初の山場です

まとめ:最優先は「14日以内」の2つ、そして給付の確認

退職後の手続きは多く見えますが、優先順位をつければシンプルです。①健康保険と年金(14日以内・任意継続は20日以内)、②離職票が届いたらハローワーク、③あとは書類が届き次第対応。そして忘れてはいけないのが、失業手当・傷病手当金など「受け取れる可能性のあるお金」の確認です。あなたの状況でどの給付が対象になり得るか、LINEの無料診断(約1分)でチェックしてみてください。

※本記事は一般的な制度解説です。手続きの詳細・必要書類はお住まいの自治体・加入先の保険者・ハローワークの案内をご確認ください。

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